リヒトクライス演奏会への2度目の参加にあたって(3)
(3)を予告してはいませんが、「心の四季」への雑感といいながら、「みずすまし」までで終わっている(2)では…ということで。
「流れ」
同じCDのカップリング曲同士で、川という共通項があるから、というだけの理由だと思いますが、この歌はどうも『水のいのち』の「川」とかぶってしまう部分があります。あくまでもさわやかな川の流れを歌っていると思われるこの曲とは対照的であるとは思うのですけれど。
ただ、「流れ」も、たださわやかな流れを歌っているだけではないことは間違いないと思います。また、今年のリヒトクライスの練習でもそのような含みのある先生の発言はいくつも気がつきました。高野喜久雄さんと吉野弘さんで表現方法は違いますし、一つ一つの作品に対するアプローチも異なるでしょうが、「流れ」と「川」は、私はその一つのテーマを、明るい側面からみるか、暗い部分から見るかで、わかれた曲のように思っています。
「山が」
今回のリヒトクライスに参加する前、「山が」と「愛そして風」は歌ったことがありませんでした。聴くと歌うは違う、と実感したのがこの2曲。練習日までに音取りをしていくのがリヒトクライスのお約束なので、事前に音取りをしていきましたが、「山が」と「愛そして風」は好対照。とっつきやすいが最後は微妙な音に苦戦したのがこの曲です。
正直、詩の理解も相当不充分なまま、初回練習を迎えました。
山へのあこがれ。が、私はどうもキホン的になかったようで、それだけにこの詩の理解はもっともむずかしいものであるように思います。
最後の、楽譜上はハミングは何を意味しているのか。リヒトではここはハミングではなく「o」で歌いますが、「o」だと、山へのあこがれからの感嘆の声でしょうか。もともとのハミングを考えると、まだまだ理解不足です。
でも、歌っているうちに心地よさの出てくる歌でもあり。
2月5日時点の私の理解では、その心地よさへのあこがれ(山を心地よさにたとえて)望むのが精一杯という感じです。
「愛そして風」
上記のとおり、はじめて歌うわけですが、これほどとっつきにくい音はなかった。が、正直なところです。今も正直不正確かもしれません。が、13小節アウフタクトのbのような音の「色」は、はまったときは見事、という感じがしてきます。
そして、指導の鈴木先生が、「田三郎唯一の人間の愛を歌ったうた」という説明は、なるほど…と。愛は3つある。は、大学の一般教養「哲学」で教わったお話。そんなことをふと、思い出していました。
たしかにご自身もキリスト教徒であり、とりあげた詩人や詩キリスト教の影響を強く受けている作品の多い田先生には、もしかしたら新鮮な愛だったのかもしれません。
と、同時に鈴木先生が「学生には歌えない」とも。いや…私もまだ独身ですので、ここは学生と同じでしょうか。
「雪の日に」
このシリーズ? の(1)に書いたとおり、合唱を長く続けることになり、また、田三郎という作曲家に関心をもったきっかけの曲というだけで、この曲はすべてです。
ただ、本当に心の綺麗な人ほど、どこに純白な心などあろう…以下を思うのでは? という問いかけには、はじめてきいたときにそう思いました。そして、自分もそうあるとも。最近、それが薄れてきていると、今年、この歌を歌いながら気がつきました。心底切なく感じられる人にまずは戻らないと、この歌の神髄は歌えないように思います。
「真昼の星」
田先生も書かれているとおり、雪の日でおわってもよいのでは? と、最初の頃は思っていました。
しかし、2つの理由で、今はこの曲は不可欠だと思っています。
一つは、「雪の日に」は、あまりにも後味が悪い。音楽としてではなく、言葉、詩としてですが…。ここでおわって、聞き手はかってに解決策を考える、という、作品もありえるかもしれませんが、それにしては切なく重すぎます。そんな中、この「真昼の星」が、次へのつながり、生きる望みのヒントを与えてくれて、前向きになって終われるような気がしています。だからこそ、組曲の締めくくりとして、あるいは、「風が」への回帰としても、この曲が必要ではないかと考えています。
2つ目は、昨年アンコールでこの曲を歌って、(やはり聞いて良さをみつけられる歌と、歌ってこその歌があると思いますが)とりこになりました。
若いうちは「雪の日に」。年齢を重ねてくると「真昼の星」の良さがわかってくる、という2chの発言をみたおぼえがありますが、年齢というのは賛成できないものの、いろいろな経験を重ねていくことで(それこそ、雪の日の雪のように、汚れをかくさんとして?)、はじめて精神的にこの曲につながっていくような気がします。
あくまでも理解や解説や解釈ではなく、今現在の感想をつづったものですが、一つ確信していることは、正しい理解(が望ましいだろうけれど)よりも、考えて意思を持つことが大事だと考えておりますので、この姿勢で5日を望みたいと思います。
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