認知症になっても安心して暮らせるまち高崎 と、知的資産経営(26日日記の各論かも)
オレンジボランティア(認知症サポーター養成講座の後に、一定のフォローアップ講座を受けて登録される制度)の講座に出席してきました。
本日の高崎市長寿社会課の課長さんのご挨拶をきいていても、市も、この私のようなオレンジボランティアという仕組みと人材の確保はできたが、どのように応用していくのか。が、課題だということは認識しているようです。
本日は富士宮市の事例を富士宮市の方が講師となってご講演してくださいました。
なるほど、どこの自治体も、工夫をして、苦労してやっているのだな、というお決まりの感想。
富士宮市の成功事例の紹介がありましたが、いずれにしても、仕組みだけではダメで、住民の力をいかに活用するかなのだな‥。とも感じます。
行政は認知症サポーター(やオレンジボランティア)を作ることよりも、住民が活動しやすい環境を作ってあげる方が大切、というのは、今日の講師のお言葉です。そんなことは当然、と思うとともに、その当然を実行するのがいかに難しいのか、ということも再度思うところです。
講師はフォーマルとインフォーマルという表現もされていましたが、フォーマル(介護保険制度の枠とか、行政がつくった仕組みとか)だけでは漏れる人がいるのは当然だし、そういう方々の情報は、フォーマルな中にいるだけでは不十分であることもまた間違いない。
高崎市としては、だから、皆さん(オレンジボランティア登録者)みたいな方々を含めた、住民の、共感してくれた市民の力が必要なんです、ということも言いたかったのかな、と思う講座でした。
さて、高崎は「認知症になっても安心して暮らせるまち高崎」をうたっています。もちろん、認知症サポーター養成講座に力をいれ、本日のようなオレンジボランティア登録なども行っているのは、この目標に向かっての施策というわけです。
ただ、ここで、最近の私の関心とつなぎあわせると、やはり、「そこにこそ、知的資産経営でしょう」と、思わずいいたくなるところ。
たとえば、今回、オレンジボランティア登録は310名あったそうですが、310名の人的資産をどの程度把握していますか? 多数は介護関係職だと思いますが、そうではない方々が、日常どのようにボランティア活動ができるのか。
そこにこそ、関係資産があるはずです。
民生員さんや、地域包括の方々は、もはや業務量が多くて限界、ということもきいていますし、端からみていても、大変そう…と思うところです。これは明らかに、弱みなわけですが、それをどうやって解決するのかは、強みや環境をきちんと分析しなければならないことは言うまでもありません。
本日の講師のいう「インフォーマル」な力は、まさにみえざる資産です。働きかければ動き出すそれもあれば、すでに動いているのに活用できていないそれもあるでしょう。その把握や、他の知的資産との連携の戦略は不可欠です。
行政サービス・商品である「認知症になっても安心して暮らせるまち高崎」のためには、かなりの数の認知症サポーターも生まれ、310名のオレンジボランティアもあり、その他にも仕組みや構造はかなり作られてきたところでしょう。これらは構造資産の一つととらえられるでしょうか。昨年度の膨大な回数の養成講座、拠点の数も理念とそのような商品を結ぶ貴重な要素です。他にも、介護の技術やノウハウも、他市町村に劣ることはないと想います。
また認知症をめぐる環境はどうなっているのか。医師との連携、市民の意識、高崎市の産業構造や人口特性などなど。そことの分析もかかせません。
これらをうまく活用するためには、やはり知的資産の活用に重きを置くほかないと感じます。
と、市にも提案したいところですが、いきなり知的資産経営といってもきっと抵抗があるところでしょう。中森孝文教授の京丹後市のような実績をみても、自治体やボランティアでも通用するものですが、ここはそれを言うよりも、実は、介護関係の皆さんは、知的資産の活用手法はすでに身につけている方もあり、実際になさっている、ということを指摘する方が取り組みやすいかもしれません。今日は実は、そのことも再度発見しました。
そうなると、知的資産の活用とまでいうと、少々誤解も招きやすいので、「強みを見つけて活用する」という発想くらいまでゆるやかに表現した方がいいでしょうか。
それは、センター方式の認知症介護の手法です。
これは昨年9月の、高崎市にある介護サービス事業者「ようざん」さんの事例発表会でも、1例、センター方式の事例が紹介されていました。そのときにも感じたのですが、まさに、認知症の方ご本人の強み、残された能力を洗い出し、その方の生活環境(地理的なもの、家族や親族、友人といった関係)の活用、その中のキーパーソンとの協力・連携、それをマネジメントするケアマネさんを中心とした方々とのネットワーク。そういうものの活用の技術です。
そして、ことばや意識でそれらを活用しましょう! と意気込むだけではなく、かなり綿密に分析的な目線がとりいれられ、だから、実際に効果があったのか、何かが効果があったのか、ということがあとからチェックできる仕組みになっていることもわかりました。PDCAサイクルがきちんとできあがっているわけです。
「経営」ではないですが、考え方や技術面も、知的資産経営とかなり類似しているといってよいと思います。“強みを活かして継続的に利益をうみだす”のが知的資産経営ならば、“認知症のご本人の強み、能力を活かして、継続的にQOLを維持または快復する”のがセンター方式の認知症介護といえるでしょうか。
技術面の類似も多く感じられ、たとえば、今日は、ヒヤリングした後のシートが事例として配布されていました。これを最初にみたときは、知的資産経営でよく行われるセグメント分析のチャートそのもので(モノクロでしたが、濃淡という点では、配色まで、中森教授の書籍のそれと同じ)、見間違ったほどです。
どうでしょう…。高崎市の担当課の皆さん。
センター方式の考え方を、「認知症になっても安心して暮らせるまち高崎」の施策自体に取り入れていく、というのは。
発想をかえて、取り組んでいくことを期待するとともに、私も共感した市民の一人として、力になれれば、とあらためて思うのでした。
(夜にわかりづらい表現を補足・加筆、高崎市の担当課名などを明記する修正を行いました)。
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