のんちゃん(nongun)の日記

プロにお金を払っているつもりだが

会社から給与をもらって働く人は、プロ、専門家なのか。直接報酬をしはらっていると、それはプロ、というのは異論がないところだと思います。が、その方の専門性が優れているから、報酬を支払う、と考えると、たまたま会社に対して報酬を支払い、そこから給与として支払われているからといって、その具体的な技術を提供してくれた人に支払っているといえるならば、プロだと思います。

と、いうことを、介護サービスでよく感じるのです。

たとえば、ホームヘルパーさん。
施設の指示で訪問して、家事などを法律の範囲内でこなすわけですが、利用者家族としての私は、いらっしゃっている方は上記の意味でプロだと思っています。

でも、どうも違うらしい…。ある意味では、期待が裏切られることが非常に多い。

介護保険によって派遣されてくるヘルパーさんは、当然に、高齢者の家事をすることが多いはずです。家事労働を提供するのだから、一通り、最低限度の家事ができるのは当然で、さらに、高齢者向けの家事ができることを、利用者家族としては期待するわけです。

高齢者のほとんど…だと思います。
「肉じゃが作ってもらえませんか」「私、煮物苦手なんです。スパゲティとかは得意なんですけど」みたいな会話が以前にありました。でもそれ、高齢者の家事をするプロとしてどうなんでしょう。
ここはまだコミュニケーションがしっかりとれる能力があれば、おいしいスパゲティで、かえって利用者の関心を高めたりすることにつながるかもしれません。そういう、得意不得意ではなく…
我が家の利用者である母がもっている内科の疾患。高齢者の多くがもっていておかしくないものばかりです。
そうだとすると、そういう慢性疾患のある高齢者には、どのような食事がむいているのか、ということは、知っていて当然ではないか、と期待は続きます。

たしかに、高齢者との会話の仕方や注意点は、どうやら講習などもあるようですから、（不自然に思うこともありますが）それはこなしているように思います。（その割に去年まできていた方は、母との会話をみていると、襖を隔てて顔をみないで会話していました。あれでは、話しが伝わらず、耳も加齢による難聴がある母にとって、聞き取れなくて会話がつまらなくなってしまうのは仕方ありません。まぁ、こういう方は、「特にひどい方」なのでしょうけれど）
でも、たとえば、上記の食事などは、？？　と思うことばかりです。

一定のレベルからは、もっているべきスキルではなく、その方が他のヘルパーとくらべて強みとなるスキルと評価されるでしょう。
他方、もし、利用者から自分がもっていないスキルのことを求められたならば、「私にはできません」と、交替を申し出るか、影でも表でも結構ですが、次の訪問日までに調べるという努力をして、あたかも昔からしっていたかのように振る舞う。それがプロではないでしょうか。

たとえに戻りますが、食事ではかなりアバウトに、こんなことをいいます。糖尿があるのでカロリーは考えてください。ただ、腎臓ももっています。なので、タンパク質の制限、塩分の制限、それと、できるかぎりカリウムは少ないものをお願いしますと。最初は、数値もお伝えしていましたが、数値は理解してくれる方がいなかったので、このような言い方にしています（さすが、デイサービスは、１６００ｋｃａｌ、３０ｇ、７ｇ、１５００ｍｇ目安というと、わかるようですが）。この数字をいって理解できるのは、また別のスキルでしょうし、別の専門家ですから、もしこれでわかるヘルパーさんは、上記の「強みとなるスキル」だと思います。

ですが、数字の前の、糖尿と腎臓と、カリウムの制限があります、という程度の説明。これは、高齢者向け家事をする以上、知っていて当然の情報ではないかと思うのですが、それは過度な期待でしょうか。

また、母の味の好みを説明します。「料理が私苦手なんで」という方もいますが、苦手は結構。これから長いお付き合いなんですから、これを機会に勉強するくらいの姿勢はもってもらえないものでしょうか。

今まで、ヘルパーさんは何人も交替しており、そのたびにこのような説明をするのですが、今までどなたにも、いつまでたっても理解してもらえない…。

過去にお一人だけ、カリウム制限についてはよくわかりません、と言った上で、次回訪問日までに、カリウムを抑える調理法を勉強してきた方がいらっしゃいました。

さて、この方が、すごい方なのでしょうか。

１万人に１人などという、すごく珍しい病気ならば、この方の対応はすばらしいと思います。
でも、腎臓疾患をもった高齢者の割合を考えると、このヘルパーさんのしたことは「当然」なレベル。逆にいうと、ヘルパーとして仕事をする上での最低限度ではないか、と私は「期待して」いるのです。

介護関係の職場は、報酬が低いことがしばしば指摘されています。
たしかに低い。
ただ、１利用者が単位時間あたりで支払う金額は、決して安いものではありません。

上記のとおり、「最低限度」のことならば、最低賃金でよい、とまではいいませんが、時間賃金に換算すると、なかなかの専門職の金額になります(少なくとも平成12年までの行政書士報酬規定の、行政書士の日当・相談料よりも高額)。
だから、それだけの報酬をもらうならば、それなりのレベルのスキルをもっていて欲しい、と思うわけです。
（なのに働くみなさんの所得に反映されないのは、事業所の不合理な経営と、シフトの組み方の工夫のなさは、大きな要因のように思います）。

さらに、介護事業の経営者側の声をきくと、「平気で突然やめるし、無断欠勤もする」。

なるほど、過去に交替したヘルパーさんで、「都合で私は今日までです。来週から別の方がきますが…」みたいな挨拶をしてやめた方は、たぶん１人だけです。そんな無責任な姿勢が本当に事実だとしたら、彼ら・彼女らの所得が低いことは、仕方ないといわれてしまうのではないでしょうか。

塩分制限の話しをすると、とにかくまずい！　ヘルパーさんが作っていったものを、母は最近ほとんど食べなくなってしまいました（だから、残りを食べるのですが）。味がない、というか、味のバランスが悪い。
せめて、減塩食の基本である香辛料を工夫するとか、だしを強めにとるとか（ただ、だしは強くとればいいというものではないのは、料理のむずかしいところです。上記の「バランスが悪い」はその意味で、だしはむやみに強くすると味は強く感じますが、まずくなってしまいますので）、一工夫して、少しでも食べてもらいたい、という気持はもってもらえないのでしょうか。自分の親の介護の経験がなければ、自分の子どものお弁当を作るような気持ち。スキルはなくても、最後はそういう姿勢でのぞんでくれるかどうか。そういう方には、報酬はきちんとお支払いしたいと思いますし、まさしくプロといえる方なのかもしれません。

最後に蛇足ですが、介護保険の改正で、ヘルパーさんの単位時間が１時間になって初めての夏を向かえています。９０分が６０分になることがいいとか悪いとかいうのは、Ｂ５書類がＡ４書類にかわるころ、「とにかくＢ５がちょうどいい」と主張する高齢の同業者がいましたが、それと同じになってしまいます。が、具体的問題が出てくると、話しは違います。
私の家の場合は、私がいない間の食事で、昼食と夕食の２食分をお願いしている場合があります。ここで夕食を作っていただくときに大問題で、６０分ですと、相当に料理のスキルが高い方でないと、基本的な掃除をして料理してだと、６０分ぎりぎりまでかかってしまいます。その場合、これからの季節、夕食までに作っていただいたものが痛んでしまうのです。９０分のときは、冷まして冷蔵庫にいれていただく時間がありましたが、今は、作業をみていると、本当にこの冷ましてしまうという時間はとれないようです。冷まして冷蔵庫ですから、実質料理は30分くらいで仕あげないとならない計算になるので、たしかにこれは相当むずかしいとわかります。
形に利用者をはめるのではなく、利用者のニーズや希望にあった利用ができるように（業者さんは企業努力ですると思います。ただ、それを保険制度が赦していないだけではないかと思うので）、改善されることを期待したいところです。

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