人様にお見せする日記って? …
<< 2024年5月 >>
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
<< オーナーの雑談の記事 >>
2012年 8月 15日 (水)

8月9日の8月のまつり


小学生の頃に青年雑誌連載されていた「寄席芸人伝」というマンガが好きでした(たしか、ビックコミック)。
「ダメおやじ」がどうしても代表作になってしまうであろう、古谷先生の作品ですが、「ダメおやじ」の連載の終盤のような、人情味あふれる純粋な「ストーリー漫画」だったと私は思っています。

そのお話の一つで、よくおぼえていないのですが、あるベテランの芸人が、評論家の評価にまどわされている若手に本質を教えるため、あえて涙を誘ううわさを流し、そのうわさに似た落語のネタを、大げさに演る、というお話がありました。その翌週の専門誌には、評論家たちが絶賛! が、寄席の裏道で出会った常連らしき人には、「なってなかった」と一言。そんなお話でした。

レストランにいくと、最近はこだわりを解説した説明書がテーブルにおいてあるときがあります。お料理が出るまでになんとなくそれに目をとおして、出てきた料理はそのこだわりで作られているんだ、と勝手に信じて。という効果はあると思います。

でも、いつも思うことは、そういうことを抜きにして、よいものをよいと感じ、そうではないものをダメと「感じられる」。そんな感性をもちたい、ということです。

これはしかし難しい。

まずは自分自身の感情の起伏があります。
まぁ、簡単な例をだせば、失恋直後に失恋の歌を聞くと、簡単に感情移入できてしまうでしょう。8月15日ということと、それが何の日かを知って、そのプレゼンの感銘した中で反戦ソングを聞けば、きっとそれは最高の作品に聞こえるはずです。

と、いうように、まずは自分自身の感情もコントロールできなければならない。

そしてもちろん、ホンモノとニセモノを見分ける能力、感性をもっていなければならない。

と、思うものの、100人が100人満足する表現よりも、たった一人を満足させるための芸術表現はあってもよいと思います。
ならば、たとえば、冒頭の「寄席芸人伝」の、大げさな出し物も、事前に流したうわさを信じた人たちを満足させるためにやったとすれば、それはそれですばらしい演出です(お話は、そういう評論家を批判するためなので、そうではないのは明らかですけれど。このお話、当時も、そうやって評論家を揶揄するのはよいが、それにつきあわされたその寄席にいたお客様にたいして失礼ではないだろうか、という疑問をもちました)。

そう、その「満足させられる」側の一人が、多くの場合、聴衆であり、私もその一人。そんな演技にだまされる聴衆が悪いのか、といえば、そういう演技にだまされる経験を積んで、聴衆も成長していくのだと思います。同時に、だから、だまされることが悪いことでも恥ずかしいことでもない。

以上は前置き。

8月9日にスケジュールをおしていってきた演奏会「8月のまつり」。

合唱の演奏会はとくに、音が上をとんでいくので、会場の後ろにすわった方がいいとよくいわれますが、今回は、いろいろな都合で、前から2番目に座りました。
そのようにいわれているから、この演奏会も、これほど前にすわったことは過去にはありません。
でも、今回は、この前過ぎる座席がよかった‥。

林光先生追悼でもあるこの演奏会、林先生の写真が飾られ、楽譜が飾られ。そういう演出は私の視力ではこの座席でないとわかりませんでした。それをわかることができただけで、前に座った意味があったと思っています。

よく、東京混声の演奏は、整然としすぎているとか、気持ちがこもっていないとかいわれますし、私もそう思うことはあります。ただ、少なくとも私個人は、こもっていないから悪いという意味ではなく、こもっていない演奏をしているのだ、と理解しているつもりです。あるいは、「水ヲクダサイ」などは、コンクールでの高校生の狂気とも思える熱演演奏録音が知られているので、ますますそういう評価も聞こえてきますが、このテーマのこの作品を整然と歌うからこそ、逆に作品のメッセージが重く感じられる、と私は思っています。が、そういうことはともかく、くわえて、逆にこのプロ合唱団に求められる姿でもあるかもしれないし、宿命では? と思うことすらあります。

それ(整然と歌うのが宿命ということ)を絶対的に思うと、今回の演奏は最悪です。
というのは、まさに2列目だからわかったことで、林先生への想い入れが深い作品であろうときは、複数の団員が涙目で歌っている。
プロが涙目でまともな発声ができるか、という批判がきっとあてはまってしまうでしょう。

また、CDの他、ライブで10回に近い回数聞いている「原爆小景」などは、私なりに耳に残っていますから、ちょっとした出だしのミスやハーモニーの乱れも(いや、正確には、「普段きいているそれ」との違いで、実は、その乱れが正しいのかもしれませんが)気づく程度です。そんなことを感じてしまう瞬間が何度かあったほどでした(そして、前から2列目ということももちろん。生の音が前にいけばいくほど聞こえやすくなりますので)。

そのくらい‥少なくとも前から2番目目に座っている合唱歴15年程度のド素人が感じられる演奏の「出来ばえ(正確さ・整然さ)」。

でも、逆に、これはすごく印象的だし、私の価値観的には、これは歓迎すべきできごとでもありました。

もちろん今回は、技術、演奏的な楽しみもある演奏会で、これまで32年間林先生が指揮をして作ってきた演奏会。それを林先生に変わって指揮する寺島先生や山田先生(先生という表現がよいのか‥。もはや世界的指揮者ですね)には、いかなる形であれプレッシャーはあったはずです。
林先生とくらべてよくなった、悪くなった、ではなくて、林光の32年をどのように受け継ぐのか、という関心をもって、どうしても聞いてしまうのは仕方ないところだと自分でも思うし、多くの聴衆がそういう関心をもっていたのではないでしょうか。

あくまでも好みという点、それと、最近の、結果的に晩年の林先生の指揮にたいして思っていたこととくらべると、たぶん、寺島先生も山田先生も、より基本に戻る指揮をされていたのではないかと思います(当然、プロ合唱団はそれを理解して表現できることは前提だし、それがすばらしい)。

でも、それだけでは面白くない。
きちんとお二人とも個性を発揮し、合唱もそれに演出をくわえて表現していたのではないか、と私は感じました。

典型的なのが、たとえば、アンコールの「うた」の山田和樹指揮と寺島陸也のピアノは、東京混声合唱団の演奏会なのに、指揮とピアノで十分、とさえ思うほどカッコよかった‥。(と、同時に、一往合唱を趣味とする立場として、あの指揮とピアノでこれだけ歌えるのは、やはりすげーっと想いながら。そしてそれを感じられたのは、これまた今回たまたま前から2列目だったからかもしれません)。

林先生は、CDの解説、ご自身の著書などをみても、とにかく「ゲリラ的」な方だったという評価ははずれていないと思います。分野も技法も多岐にわたり、作曲という場面にかぎらず、宮沢賢治の研究など、私もいくつか文献をみましたが、関心するばかり。こんにゃく座をご存命のうちにもう一度いけなかったのは心残りですが、「森は生きている」は、幼稚園かな、小学生低学年かな、という頃にふれる機会があって、強く印象に残っています。そういう日本語のオペラも。そしておそらくは時事にもそうとうお詳しいのは、毎年の演奏会のMCなどをきいていても、絶妙の風刺が、厭味に感じない程度にユーモラスに含まれている。

そんなすごい方の功績を一言でいうと、私はまだ十分に理解できていなのですが、「ソング」という概念を残したことは筆頭にあげられると思います。

「ソング」の意味は、ちょうど、私が合唱をはじめて、最初のステージでの音楽監督をされていた長井学先生が、このたび、ご自身が指導されている合唱団の演奏会のチラシでも紹介しています(合唱団Earth。8/19公演)。

さて、前置きも長く、展開も長いのですが、ここからが本題というか結論。

ごちゃごちゃ書きましたが、今年の33回目の「8月のまつり」演奏会の感想は、「『ソング』を聴いた」の一言の表現が一番あっているように思います。

そういう感想も、感じ取ったものも、最初の「前置き」の「流れ」の、今、という瞬間が生じさせたもの、生じさせてくれたもの、といえるのではないでしょうか。今感じる印象、感想を否定せず、過去の経験の影響力の下、将来につなげられるように聴いたり、歌ったり、仕事にステージを移しても、人の一生におきかえても、一瞬を大事に吸収していきたいとも思う8月9日でした。

T R A C K B A C K
この記事のトラックバックURL
./tb.cgi/191


C O M M E N T
ニューバランス アクアシューズ SM429 D SM13 BLACK(BK) 4599
ニューバランス M1010 D http://nekogun.sakura.ne.jp/newblance.php?list=13
198.100.144.30  ks4001601.ip-198-100-144.net
ニューバランス M1010 D          [2013/11/11(月) 01:55] [削除]
コンバース ALL STAR BEACH-RESORT HI オールスター ビーチリゾート ハイ BLACK 4133
コンバース CANVAS ALL STAR http://www.cnfo-niigatakensanyasou.or.jp/data/converse.php?list=12
198.100.144.30  ks4001601.ip-198-100-144.net
コンバース CANVAS ALL STAR          [2013/11/11(月) 01:56] [削除]

<< >>







RSS

Ringworld
RingBlog v3.24