母の薬をいただいて思う強みの活用
薬の院外は何がメリットだかさっぱりわからない。
ずっとそう思っているのですが、院外で薬局の「競争」で、私たちの目線で薬局運営がかわるならばそれはメリットかもしれない、と思う日。
母のかかりつけのクリニックは、処方箋をだすものの、院外と院内併用だったためか、いままで近くに薬局がありませんでした。そこで、自宅近所の大手ドラックストア「すぎ薬局」を利用していました。
が、4月から完全院外になったいうことで、クリニックのとなりに薬局ができました。処方箋を受け取るときに、隣で、と指定はないものの、隣が便利ですよ、という雰囲気だったので、その、隣にいってみたわけです。
結果として、次の通院で、この薬局にいくかなー…というのが感想。
スギ薬局は、もともとがドラックストア。ですから、特定の病医院とは関係なく、ドラックストアの目線=少しでも安くという姿勢がきれいにあらわれていました。
その典型が先月で、医師処方箋で、普通はジェネリックを許容するマークなのに、ひとつだけジェネリックを否定するマークがついていました。でも、薬局薬剤師の経験から、この薬はジェネリックでもとくに問題はないので、と、クリニックの担当医に電話して、ジェネリックがなぜダメなのか、それが理由がないならばジェネリックを認めるように電話をしてくださったのです。結果として、ジェネリックが出ました。
今回、まったくおなじ処方です。そして、たぶん、先月の処方箋をコピペしたのでしょう。同じく、ジェネリック不可のマークがついていたようです。
ところで、ジェネリックの普及で、患者やその家族が戸惑うのは、薬剤名と成分名が混在していること。たまたまなんとなくパッケージを覚えていましたが、名前を覚えていないと、違う薬が処方されたかのような状態に陥ります。ここは、薬の業界の方々は、なにか改善策を考えていただきたいところです(典型が、私の家庭の場合はアリセプト。これは薬剤名で、ジェネリック認容の処方箋には「塩酸ドネベジル」との表記。たまたま私は仕事の関係で、アリセプトの有効成分が塩酸ドメベジルと知っていたので、はじめてアリセプトのジェネリックが処方されたときにもすぐに理解できましたが、普通こんなのわかりませんよ…)。
さて、薬をわたされるときの説明。みたことがないパッケージ。
そう、前回はスギ薬局の配慮でジェネリックがわたされました。今回は、上記のスギ薬局のようなことをしてくれていないので、処方箋のとおり、ジェネリックではない薬が交付されていたわけです。
上記のとおり、パッケージが違うことを覚えていたので、その場で、前回と違うといったところ、医師からジェネリック不可の指定があるから、との説明。スギ薬局では「それを電話で確認してくれた」といったところ(ちなみに、スギ薬局からクリニックは3kmほどの距離。この薬局からは10mはなれていません)。スギ薬局だって、こちらから医師に確認して欲しいといったわけではなく、むしろ向こうが自主的に確認してくれたわけです。ここで、そもそもの姿勢の違いが感じられます。そして、今日は時間もないので、「今回はこのままで。でも、次回は確認して欲しい」ということをいいますと、「では、在庫も確保しておきます」とのこと。
いや、この時点では、在庫がないからしらんぷりしたとまでは思いません。
さて、帰宅して薬の明細をみると、ここは「バカ正直」に、ジェネリックの有無が記載されています。が、そこに「ジェネリックがありますが、当薬局には在庫がございません」と明記されています。
そのような薬が2種類。
自らの在庫の不備をお客に負担させるのでしょうか。
上記の医師がジェネリック不可としたことはたいした問題ではなく、在庫がないからと、ジェネリックがあるのに通常の薬を(説明もなく)交付していたわけです。
ちなみに、(決してスギ薬局がいい、というわけではありませんが)、過去に同様なことがあり、そこは大手スギ薬局の強みでしょう。「当店にはないですが、最寄りの当社他店舗には在庫があるので、早急に手配します」ということが何度かありました。もちろん、これは各店舗で在庫がない努力不足はありますが、もより店舗の在庫を確認し、提供するために運搬させるというのは、ひとつの立派な、顧客の立場にたった企業努力です。あわせて、次回からはこの薬も在庫を確保しておきますので、よろしく、と。でも、この営業トークは少しも厭味もなく、むしろうれしく感じる対応です。
薬価とその前提となる特許については、かなり強い疑問を感じています。が、それは現在の法律できまっていることですから仕方ない(いくつかは法律レベルではなく、厚労省通達レベルですから、ここは戦う意味があるかもしれませんが)。でも、その不合理で(おそらくは特定の団体や企業の利権を保護することになっているだろうそれですが)あっても、それに対抗するためには、法律が許した範囲で、工夫することではないかと思います。その目線でみると、医師がジェネリック不可とあっても、薬剤師としての意見で問題がないからと、ジェネリックを認めるように医師に確認をとったり、在庫が店舗にないからと、早急に他店舗から取り寄せる努力をしたり。
基本的に大手というものが嫌いな性格なので、スギ薬局にとくに思い入れはありませんでしたが、クリニックの隣という地の利だけにおんぶに抱っこでなにも工夫のない一個人薬局よりも、こちらの方が、私は応援したい=利用したいな、と思うできごとでした。
というのは、知的資産経営的に典型的な事例になりえます。スギ薬局がこのような対応を、(外注らしいですが)薬剤師に求めているならば、これは立派な強みを活用した戦略です。多店舗経営と資本力を活用した在庫確保をいかすために、中小店舗にも社員(あるいは委託先契約)を活用しているわけですから。
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