旧図書館は単なる駐車場となることがわかって
ひとつもいい悪いに言及するつもりはなく、ただ、感情面、感傷面の日記。
今日、回覧板がまわってきました。
いくつかある記事のなか、一番上にあったのは、近所の、旧高崎市立図書館の解体、その跡地を(現在の第一駐車場の)拡張駐車場にする工事と、現在の第二駐車場の回復工事の説明会を5月9日に開催します、というものです。
旧高崎市立図書館は、詳しくはしりませんが、東日本大震災をきっかけに、公共施設で特に重視されるようになった耐震・免震の面で問題があるということは聞いていました。そして、どっちの計画が先にあったのかは正確にしりませんが、昨年4月に新図書館が完成し、閉鎖となって、今までなんの活用もされず放置されてきた建物です。
私もここに引っ越してきて8年前後。それまでは趣味の合唱で、隣接する中央公民館に通っていますし、図書館は調べごとで少しは利用していました。でも、引っ越してきて地域住民としてみると、これがなくなのは惜しい、という気持ちはいっぱいでした。正直なところ、たしかに新高崎市立図書館はかっこいいし、施設も充実している。でも、そんなみためだけ、蔵書の充実も不十分(だと私はおもう)で、箱ものにばかり金かけたくだらない移転だ、と、あえて悪たれをいいたくなるくらい、地元図書館があわれにも放置されているかわいそうな気持ちからついつい思ってしまうほどでした。
が、私はまだその程度。
この旧図書館は、もともとは高崎女子高等学校の校舎です。いとこが高校生のときに「高女」は移転したので、たぶん、30年くらい前までは校舎だったわけです。
そんな卒業生からすると、これが解体されるのはどんな心境なんでしょう。
最後をせめて綺麗に、華々しく。
せめてそうおもいたいのですが、ここ1−2年の高崎市の広報や各種メディアは、わけのわからない東口のコンベンションホールの話題や、この度きまった体育館の話題などなど。新しい箱ものの話ばかり。このような旧施設をどのように活用するのか、あるいは活用せずに取り壊すのか、という部分はほとんどふれられていません。実際、見落としはあったかもしれませんが、新図書館に移転となったあと、中央公民館からみる旧図書館の建物は、どことなく哀れで、これがどのようにされるのかはすごく気になって広報や市のHPをみたり、チェックしていました。でも、確実な情報がほとんどえられないできました。
そんな気持ちのなか、回覧板で、解体についての説明会のご案内です。
本当に解体しか道はなかったのか?
自然に考えると、隣接の高崎市文化会館の駐車場不足は以前からいわれていましたから、これの駐車場とすることは有力候補です。しかし、これも旧市役所、そして婦人フォーラムとして活用されてきた施設の解体によって、わずか徒歩2−3分の場所にかなりの駐車場が確保されています。もともとあった第二駐車場も、地主との関係で使えなくなると、一時期は廃止が発表されたものの、冒頭のとおり、これの回復工事も行われますから継続的に使用できるようになったのでしょう。そうすると、駐車場にするのは本当に必要なんでしょうか。もはや図書館はないので、車を長時間とめておく必要はあまりありません。公民館活動での使用など、せいぜい2−3時間でしょうし、第二や旧婦人フォーラム跡地の駐車場があれば必要十分ではないのでしょうか(ちなみに、第3、第4もあります)。
高崎の駅周辺、いや、正確には、駅から少し離れたあたりの衰退は、やはり駐車場が関係していることは否定できないようにみえます。どんどん車社会になっていくなかで、駐車場がないから商店街が衰退した、というのが一般的な見方かもしれませんが、もともと東京育ちの私からみると、たまたま駐車場がなかっただけ。商店街そのものの魅力がなかった(もちろん、お江戸みたけりゃ高崎田町、とまで繁栄していたわけですから、正確には、魅力ある商店街でありつづけることができなかった、という意味で、もともとは魅力的な町だったわけです)からではないかと今も思っています。そして、悪循環で、駐車場がないからつくれ⇒駐車場の分だけ店舗の間隔はあいて、ユーザーからすると、隙間だらけの店舗となります。そうなると、ますます魅力がつくれなくなる。
2008年くらいから高崎の中心街は復活しはじめていると私はおもうのですが、それは、この隙間をうまく活用して、商店街に繋がりができてきたからではないか、と仮説をもっています。
その仮説から…。
引っ越して、地元で飲食したりしているうちにわかってきたのは、今は高崎は駅を中心とした繁華街があります(プラス柳川町もなんだかんだいって歓楽街でしょうか)。問屋町や新保など、いわば21世紀型の、オフィス近くではなく住宅近くの繁華街ができているのはたしかです。それに目をうばわれていて気づかなかったのですが、私の世代、私の高崎での生活時間からは知り得なかった、第二第三の商店街が、実は私の現在の自宅近くにはあった、ということ。名残はいくつか残っています。たぶん、20年以上前につぶれたのであろう小料理屋とか、看板のあととか。近所をしる人にきくと、たしかにこのあたりは、ひとつの歓楽街があったようです。そして、私がここに引っ越してきた頃、ぎりぎりその名残があり、いくつかのお店がオープンしました。が、もはやいっそう駅に人は集まるようになって、商店の断絶のなかではやはり太刀打ちができなかったのだと推測されます。みな、残っていません。
このような飲食店、居酒屋は、たしかにこの近辺ではもはや無理だとおもいます。が、旧女子校校舎レベルの敷地面積が駐車場になる。これは、近隣の再興という点では、もはや決定打でしょう。図書館がなくなったことで、集客力が失われてやめたとおもわれるお店もいくつかありますが、ここになにか新しい施設ができることをどことなく期待していました。
でも、こんかいの、駐車場にします、というご案内で、それらがすべてなくなった、という印象です。
そして、実は9日という平日の昼間の説明会など、誰が参加するのでしょう。
そういう想いもこめて、問い合わせをしてみました。そこでひとつだけ感情論でなくなげかけてみたことがあります。現在の中央公民館の利用者だけでも、土日は渋滞ができる第一駐車場です。そして、右折入場は制限しているものの、出場は制限していないので、ここを歩いていたり、自転車で走っているときはもちろん、比較的小さな角から近いので、反対車線を走行してくる出場車に危ない想いをしたことはいとまがないほどです。
駐車場になって、近隣の町が隙間になることも賛成できないが、高崎市全体の計画ならばそこは譲りましょう。でも、近隣住民のこと、(また、主要県道がありますので、上記の駐車場入場町の渋滞が長くなっているときは、この県道の渋滞も引き起こしているので)通行の安全や渋滞予防をどれだけ検討して、今回の駐車場拡張を予定しているのかだけでも、9日参加できないがお聞きしたい、といったところ、そんな渋滞があることも、危険があることもはじめてききました、という感じの回答。
幅員10mもないような交互二車線を全面道路として、紙とボールペンで車両番号をシルバー人材センターの方が記入して受け付ける駐車場。そして、そこから50mもない交差点で、高崎市では渋滞で有名な県道につながっている。という条件を考えれば、駐車場管理がしっかりしていなければいろいろな問題かうまれることは容易に想像できるはずです…。
中央公民館は少ししゃれていまして、あまり花には関心はない私ですが、「桜」と名のつくもの(ソメイヨシノにかぎらず)が配置よく植えられていて、それぞれが咲く季節が少しづつずれています。まさに、文化会館(中央公民館、文化会館はおなじ敷地内で隣接)の名のとおり、文化を感じる、いわば桜の庭園です。ここに図書館を解体し、大規模な駐車場をつくるとなると、この文化的な桜の配置も壊れてしまうのか。そんなことも気になるところ。
本当に善し悪しではなく、好き・嫌いで、高崎には中途半端な都市化はして欲しくないし、その方向での街づくりは、限界がくると私は思っています。都市化勝負の発展は、典型的な量的なアドバンテージづくりで、これは資本の大きさ、人の多さであっというまにアドバンテージでなくなります。それがなに? というこたえは難しいですが、質的なアドバンテージで発展を勝負して欲しい(楠木建氏の著書の、ノートパソコンの薄さの競争はすごくわかりやすかった。そういうのが、量的なアドバンテージ)。その目線ですと、東口のコンベンションホールは最低最悪の施策だとおもいますし、体育館を利便性だけで駅近くにつくることはなんの工夫もない。もうしわけないが、せっかく馬鹿みたいな大合併をして、人口は群馬県トップ、人口密度は…町村をふくめればかろうじてベスト10となるような広大な敷地を保有することは、通常は都市の設計としてはマイナスですが、これをいかすようなことをして欲しいと思っています(願ってはいない。私のようなものの意見をきいてくれると願うのは、厚かましいとおもうので)。そういう意味で、「中途半端な都市化」です。
町づくりもひとつの政治だとおもいます。私は「旧日記」でも書いているし、これは中学くらいのときからぶれていない考えだとおもいますが、政治にとやかく口をだすよりも、政治の結果をどれだけ自分にいかすか、対応するか、を考える方が得策だ、という考えが基本にあります。今どきでいえば、TPP反対という労力よりも、いつTPPの効果があらわれて、そのときに自分がなにをすべきかを考える方に労力をついやす、ということでしょうか。だからどっちの方向に街づくりがすすんでも、反対はしません(賛成もしません)。その結果できた町をいかに活用し、いかに愛するか。
今日で引導がわたされたので、図書館がどうなるのかな、という期待を一切すてて、そちらに専念する、という感じでしょうか。
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