外食産業の誇大広告
ヘルシーブームはおとろえをしりません。
メタボ検診がはじまってからは加速もしているようです。
そんな中、とくにいわゆるファミレスで感じることに、「ヘルシーメニュー」っていう表示。
みると、たいていは、油が少なくて低カロリーのメニューのようです。
ただ、正確な数字はしりませんが、油は全摂取エネルギーの9%程度はこれでとることが望ましい、という記事を読んだおぼえがあります。
糖尿病の基本的なカロリー(ただ、私がこれを勉強したのは旧基準ですので、今は違っているようですが)でも1割程度は脂質が含まれていた記憶があります。
たしかに、私も体重コントロールしたことがある経験から、油を減らすの効果あると思います、というか、グラムあたりのカロリーが高い油を減らすのがいちばん簡単。普通の外食中心?の食事していれば、1食油の少ないものを選ぶように心がけるだけで、だいたい2−3単位は減らせますから、一日160−240kcalも少なくなります。暴飲暴食していない限り、200kcal程度コンスタントにおとせれば、ダイエットにはなるのは当然といえば当然でしょう。
が、それ以上減らすと弊害がおきてくることも私自身経験済。やはり油も最低限度(がどの程度かわかりませんが、上記記憶ならば、総摂取エネルギーの1割程度でしょう)は摂取しなければならないと感じます。
他方、夜に主食をぬく、というダイエットもよくききます。炭水化物を減らすことは、短期的な体重減少にはやはり効果はあると思います。が、これこそ、リバウンドの餌食。一般にはタンパク質を多く摂取して…と解説されていますが、先日、NHKのためしてガッテンでも紹介されていました。体が飢餓かどうかを判断するのは糖質の摂取量におうところが大きいので、主食が少なすぎると飢餓と判断され、基礎代謝が落ちて、結果的に太ることになる。タンパク質を多くとる、というダイエットは、筋肉をおとさないという点では正しいと私は思うのですが、それは、必要最小限の糖質を摂取しているから筋肉をふやしたり維持できるわけです。
と、考えていくと、油が少なくて低カロリーの商品を、「ヘルシーメニュー」と表現するのは、外食産業のものすごく勝手な誇大広告ではないでしょうか。
そもそも昨年、大手某ファミレスでこのような表示のメニューをみました。ご飯までついて460kcal程度におさえられていて、平均的なファミレスメニューの一食のカロリーとしては、たしかにおさえられています。が、(逆に、きちんと表示していることは、このファミレスの良心だと評価しますが)塩分8.6gとの表示。厚労省他、発表団体によりますが、日本人の塩分摂取は7〜8gが理想とされていると記憶しているのですが、このヘルシーメニュー1食でそれをすでに超過しているわけです。
日本人はたしかに摂取エネルギーが増えて肥満は増えていますが、もともと塩分の多い食事のせいか、ガンがトップになるまでは脳卒中と心臓病が死因のトップでした。そうすると、こんなに健康に関心が集まる前の日本人のヘルシーメニューは、減塩食だったはずです。その状況は改善されていないまま、摂取カロリーの増加ばかりが注目されて…となると、ヘルシーメニューといえるには、低カロリーだけではなく減塩食でなければならないように思います。
もちろんつきつめていくとキリがないのはわかります。バランスのよいミネラル、繊維質…とまでいったらキリがありません。そして、一定以上の要求は、AさんにはヘルシーでもBさんにはそうではない、という栄養バランスもあります。
でも、低カロリー、減塩は、ほとんどの健康な人にはあてはまるものだと思いますから(私のつたない知識でも、腎臓病の方には、高カロリーの食事が必要だし、激しい運動をする中ではある程度の塩分が平均的なそれよりも必要だと思いますが)、このくらいは充足するものだけをヘルシーとうたってほしいものです。
と、カロリーと塩分をここでとりあげるのはもう一つ理由があります。
質のよくない素材をごまかすには、油と塩分をふやすのが簡単な方法だ、ということです。古い卵にちょっとバターをくわえるとごまかせます。いたみかけの野菜に塩分を強めにしていためてあげると、とりあえずは食べられます。いや、そこまでいうといいすぎでしょうか。調味料のバランスが難しい料理では、塩分と油を多めにすると、そういう味になれた最近のお客をごまかせます。だから、アルバイトが調理しても、最大公約数的においしいといわせる料理を全国共通で作り出すには、油と塩分を多くすれば簡単だし、安上がり、ということが想像できるからなのです。
ファミレスって、正直、子供のころ、子供心にもまずいと思いました。それはたぶん、上記の基準でつくっていたからだと思います。が、まずくても便利、子供がきても受け入れてくれる…などの利便性から、仕方なくまずくてもいくようになり、その世代が大人になれば、子供を連れていく。そうすると、子供は子供のときからこの味になれているから、これがおいしいものだとおぼえてしまう。ファミレスが日本にきて40年ほど経過して、その、子供のときからファミレスになれた世代がすでに親になっています。だから、最近は、「ファミレスがおいしい」となるわけで…。
そもそも、うるさい子供は社交場にでるべきではないのに、ファミレスはOK。そして、上記のとおりにファミレスの人気が高まると、普通のレストランは経営がなりたたなくなってつぶれてしまう。30年くらい前までは、「子供のうるさいのがいやならばファミレスにいかなければいい」と、いえましたが、今は、ファミレス以外のレストランがなくなっているし、あってもファミレスに準じて子供のうるさいのはOKという店ばかり。
と、私のファミレス嫌いはあるのですが、今度はそのファミレスが経営難とのこと。イナゴのように日本におしかけてきて、日本の古き良き「洋食や」をことごとくつぶしてまわって、イナゴのようにさっていく…。あとにはなにも残っていない。
さてさて、最後はちょっと断線しましたが、せめて資本と店舗数の多さという優位性をいかして、採算は多少おちるとしても、これからの日本の健康と食文化を根底からささえていくくらいの気概のあるファミレスは出てこないものでしょうか。
この記事のトラックバックURL
./tb.cgi/49
192.151.147.226 192.151.147.226
142.4.209.55 ks4003201.ip-142-4-209.net