パイプの考え事
タイトルはパイプと書きましたが、行政書士は、行政と国民のパイプ、ではないと思うので、行政が求める要求が
わかりづらいけれど正しいと思うならば、わかりやすくして伝える。
しかし、わかりづらく、かつおかしいとおもえば、要求をかえることを求めることも必要だと思います。パイプとは、そのままなんの手もくわえず入口からはいったものを出口に届けるものですから、届けるのはたしかに同じかにていても、そのままではなく、手もくわえることがある(ここに行政書士の専門性と付加価値がある)という意味で、パイプではない、ということです。
が、敵もさる者。許認可権をもち、期限のある手続の場合は、反論する時間などないまま時間きれとなる。だから、個別の案件でなくとも、手続がおわったあとに、次ぎのために改善をもとめる必要もあると思う。
が、なかなか単独の行政書士の意見はとおるどころか聴いてもらえないことも多いのがたしか。そのための行政書士会だったり、その他いろんな団体をもっている。→これが最後の段落につながります。
さて、細かいのをあげると、改善を求めたい、と思うことはたくさんあるのですが、群馬県建設業係の経営審査などにおける契約書の確認の基準だけは、ずっとおかしいと思うし、改善をしてほしいとおもっていたら、今度は改悪。
工事があったことを証明するために、(1)契約書をみせなさい。これが原則というのは、ごもっとも。たしかに業法でも書面で契約しろとあります。が、とくに建設業の業界の実態からすれば、親分子分のような関係もあり、そうすると、「親分、法律が書面でっていっているから、紙でくださいよ」なんて、ありえない。「おい、たのむぜ」「うっしゃ」というような会話もなく、あ・うんの呼吸でやることすら。こういう実態からかけ離れていることは少々考えてほしいと思いますが、ここは行政側は最後の砦で、「法律で書面で契約をかわすことが義務づけられているから、そのような契約は業法違反です」と。まぁ、たしかに業法違反では仕方無い。
契約書がなければ、注文書(ちなみに、関東地方整備局や近隣の県では、注文書と請書のセット。これも上記の意味で、書面で契約する以上は請書という注文にたいする応答があって成立という考えから)。注文書がないときには、請書と入金がわかるもののセット。それもないときは(請書にかわって、工事内容がわかるものでもよいとされていて)、発注証明書を発注者に発行してもらいなさい。と、いうのが群馬県の基準。
最後の請書や工事内容がわかるものと入金がわかるものというあたりは、もはや業法が書面で契約しなさい、といっていることからはずれてきます。ここは、業界の実態を考慮しての「お情け」なのでしょう。ちなみに、他県でも同様で、注文書+請書がないときは、入金の確認ができるもの、というのはよくみられる組み合わせです。
他県と群馬県の違いは、「注文書+請書」の組み合わせがあるかどうかで、ここは群馬県の方が、早く業法違反に目をつぶり、お情けをかけてくれている、とも評価できるものの、私はどうも、「業法はどうでもいいから信用できるもの」といっているような気がしてなりません。
そう思うのは、偽装のしやすさで比較した場合で、書面で契約を、という業法の規定を抜きにして考えると、注文書+請書よりも、注文書と入金確認できるものの方がはるかに偽装のハードルは高くなります。なので、群馬県の方が業者を疑っていて、業法的には請書とセットであることをおいておいて、入金確認書類を優先しているのではないか、と思うわけです。
さて、ここまではしかし、業法の規定がある以上、申請者もきちんと用意するべきだと思います。なので、とくに経営審査を2度目のお客様には、群馬県の解釈や取り扱いを伝えて、来年度のために用意するように伝達はしています。
その中で、以前からなっとくができない、すばらしく奇妙な取り扱いが、上記の「注文書+入金確認書類」で、振込ではないときの取り扱い。
入金確認書類は、多くは振込なので、通帳のコピーでたりることになります。
が、小さい工事や近所からの注文だったときなどは、現金集金で領収書発行ということもあるわけです。そして、市販の2枚複写の領収書をつかっている場合など、1枚は注文者に、1枚は工事業者に控えが残る。これが普通ですよね‥。
これに対して、以前から、「領収書控えに注文者の印がないものは認めない」という解釈指導があったこと。
工事にかぎらず、通常の取引で考えてみると‥。
コンビニでコーヒーを買いました。120円くらいをお支払いして、レシートがでます。それを受け取っておわり。コンビニはそのシステムの中でレシートの控えが残るようになっているようですが(電子化されている場合ふくめて)、群馬県が求めていることは、この、コンビニに残った控えに、コーヒーを買った人の印鑑がないと認めない、といっているのと同じ状態なわけです。
通常取引で、領収書控えに印を押すでしょうか‥。
これはなんとか改善して欲しい、とおもっていましたが、今もかわらず。私のお客様は心得たもので、金額の大きい領収書は、あらかじめもらっておくように対策をうっています(金額の大きい順番で大きいものをみせるので、大きいものだけで対策になる)。
さて、そんな中、今年こんなことがありました。
契約書で相手がたまたま印鑑をもっていなかった。そんなときに、認め印を真似したような感じに、名前を書いて○で囲む、というのはよくやりませんか?
この契約書は、注文者の印がないから、契約書だけれども確認書類として認めない、ということです。
まぁ、名前をかいて○で囲むのが、たしかに何ら証明の足しにもならないとしたとしてもです。
署名か、記名押印‥書類の信憑性という意味では、その記名押印の押印が、実印で印鑑証明書を添付していないかぎり、100円ショップでもうっている認印よりは、はるかに署名(押印なし)の方が高くなるのではないでしょうか。そうすると、署名の上で、名前を書いて○で囲むパターンが認められない、というのは、どうも(上記の私の推測で、業法の遵守よりも偽造防止を優先する群馬県、という意味ならば)辻褄があわないと思うわけです。
このケース、たまたまお客さまの近くの、ごく親しい個人が発注者でした。近所で親しいですから気楽に「ごめん、ちょっと印がぬけていたから押してよ」と、その契約書をもっていって押印してもらうことはたやすいことです。
しかし、今回の群馬県の指導は、「契約のときに印が押していなかったのだから、あとから押したものは認められない。発注証明書を提出するように」というもの。契約書に不備があってあとから補完する、ということはすごく普通にあると思うのですが、それはいけない、ということで。
この発注証明書。群馬県のHPでダウンロードできますが、一般の個人がみたらギョッとするようなこわそうな注意(いや、実質警告)が記載されており、個人の発注者にとっては、印を押さなかった契約書に印を押し直すことよりもはるかにハードルが高くなります。
さて、同業の方がもしこのブログをみていましたら、ご意見をいただけるとうれしく思います。また、他の群馬の同業のみなさん、このあたりどうなっていますか?
あと、あくまでも口頭での指導なので、とくに後半部分は普遍的な群馬県の現在の取り扱いではないかもしれません(が、領収書控えに注文者の印を求めるのは、もう5年くらいで複数のお客様の申請であるので、これはかなり普遍的な取り扱いでしょう)。
こういう情報交換を本当は気楽にしたい。
企画開発部なのか、業務指導部なのか、群馬県行政書士会のどの部署が担当すべきなのかは執行部の方の判断ですが、HPでほとんどダウンロードでき、とどく前にしらない情報がほとんどないような会報を作っているよりも、よほど会員サービスとしては大事な仕組みではないか‥あ、この最後の段落は、独り言です。(ここは、Let sleeping dogs lie. だから)
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