事業承継・知的資産経営フォーラムにいって
今日は中小企業基盤整備機構主催の事業承継と知的資産経営のフォーラムに参加してきました。
中小機構はとくに昨年からでしょうか。事業承継といえば、「企業のDNA」の継承と表現して、知的資産経営の活用を強調しています。この点、私も、2010年頃い以降に相続や事業承継の講演などを依頼されたときは、「第三の事業承継」と表現して、知的資産の承継を強調してきました。表現こそ違えど、方向性は同じ。
知的資産経営の「業界」としては、報告書の作成が目的ではない、というのは、平成25年の主流です。もちろんそんなことは当然なのですが、私の分析としては、一時期、「強みを見える化」は、強みの「魅せる化」だ、ということで、見せることに力をいれていた時期はたしかにあったと思います。それがちょっと違う方向にむかってしまって、知的資産経営報告書の存在価値を、必要以上に高めてしまって、誤解がうまれたような気がします。
また、最近の支援者同士の情報交換で感じるのは、そもそも支援とは何か? というところ。
強みを見つけて、魅せるまでではなく、知的資産経営とは、知的資産を活用して、「継続的に」収益をあげる経営です(*)。では、どのように活用するのか、活用の戦略設計支援から、戦略実行支援までしてこそ、知的資産経営の支援だ、という意見もあるようです。他方で、経営はあくまでも経営者。だから、支援者は支援者という立場もあります。そんな意見交換もしばしばなのが昨今の状況です。
(*)とりあえず、「収益」としていますが、経営とはお金に結びつくことだけではありません。そういう意味では「実績をあげること」かもしれません。そう定義することで、地域資源の活用による地域の活性化、本来事業の目的達成によるNPOなどの非営利団体の知的資産経営、そして私は個人の生活設計や、介護設定にも応用できると考えています。
私も、知的資産経営の支援者を名乗っています。まぁ、名称独占の国家資格でもありませんから、いえばそれまでなのですが、行政書士事務所としても知的資産経営にこの3年力をいれてきましたが、日本行政書士会連合会がそれを推奨、実践していることもありますし、民間資格ながら、「知的資産経営認定士」もいただき、学会にも入会させていただきました。そして、知的資産を活用して収益を継続的にあげるための助言やコンサルもそれなりの実績はあると自負しています。
支援の在り方は一つではなく、さまざまなやり方があるだろうし、支援者のバリエーションが増えることは、多種多様な中小企業の支援には必ずやプラスになると考えています。
そんな中、私はできるだけ、企業や団体が「今までやってきたこと」を応用し、それを伸ばすのにはどうすればよいか、という視点が、私のスタンスだと考えています。ただ、これは地味です。派手にいろいろなワークをとりいれ、報告書を作成し、あるいは金融機関から融資をひっぱり、実績をだす方がめだちます。でも、たしかにときにはそういう実績がクライアントの目的の場合もありますが、圧倒的多数の、より平凡な、普通な企業は、現状を伸ばすやり方の方が、めだたないけれど有意義なのではないか、というのが私の考えなのです。
しかし、本当にそれでよいのか、という不安は正直ありました。
それと、私のクライアントは小規模事業者の中でも小規模がほとんど。でも、センセーショナルさがないためか、中小企業の「小」の事例はあまり注目されていないのも現状。それでも中小企業庁の施策もあって、「中小の小」の事例はちらほら出てきましたが、小規模事業者の中の小規模の事例はまだまだあまり語られないところです。でも、中小企業庁の統計にもあるとおり、本当の日本活性のための中小企業支援は、小規模事業者の中でも小さなところのコンサルタント、経営支援があってこそではないでしょうか。
でも、そう思っていても、ここのやり方は事例がきかれないからいつでも手さぐり。
そんな中…今日は。
1.知的資産経営の言葉をしらなくても、無意識に知的資産を活用してきたことを掘り起こし、それに気づいていただき、それを伸ばす支援というやり方が、紹介されていたこと
2.私のクライアントよりはまだ大規模ですが、それでも従業員数や年商レベルで、「小規模事業者の中」くらいの事例が紹介されていたこと
3.報告書の意義について、私見と同じことを、報告書作成実績がおそらくは最多であろう方(滋賀県中央会の中嶋氏。なお、行政書士として、支援実績トップレベルの滋賀の中島さんから、誤字の指摘をいただいて、中嶋氏のお名前を訂正したこともご紹介いたします)の発現からもあったこと。
もちろん今日のフォーラムが、いかにこの業界の重鎮が集まったからといって、フォーラムの中の意見が正しい方向かという保証はありません。ただ、私自身がやってきたことが、このレベルのフォーラムでも論じられていたことは、ちょっと自信になりました。
もう一つ。
金融機関と支援者と経営者をつなぐ道具としての知的資産経営。
昨年6月に、高崎信用金庫さまの研修を担当して、まさにこのことを話しましたが、今日の経産省の方の資料は、私の資料をみたんじゃないの? というくらい、同じスタンスでした。
よくも悪くも、現実的に、金融機関との連携は不可欠です。だとすると、この三者の関係をどのようにつなぐのかは、実は一番大切なところです(*2)。その点、昨年6月の私の研修が、やはり今日の発表にそっていたのは、これからの実践に非常に自信になりました。
(*2)今日の唯一の不満は、中小企業の最初の相談者は税理士と会計士。だから、税理士と会計士が知的資産経営支援をすれば…みたいな発言があったこと。ここは、もちはもちやです。また、会計と税務を税理士がやることが間違いだ、という意見すらあり、会計と税務を別の人がやるからこそ、チェックアンドバランスができあがります。だから、税務という側面からの事務とコンサルは税理士と会計士、知的資産の視点からの支援は税理士以外が実践する方が、私はより実践的だと思います。
さて、そんなことを感じたわけですが、今日も強調されていたのは、「知的資産経営を実践して新しいことはほとんどない。が、それを確信させてくれたことが成果」という経営者のお言葉。そのとおりだと思うし、知的資産経営支援者としてもやもやしながら自分がしてきたことを確信にしてくれた今日のフォーラムは非常にに有意義でした。
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