北朝鮮が報告書を出して、アメリカがテロ指定を解除、という話題があがっています。
ふと、この構造って、どこかでみたことがないか…と思っていたのですが、ああ、イラクとアメリカだ。
そうすると、アメリカはイラクがトラウマになって、正確な報告書の審査ができないのだろうか、という気がします。
イラクのときは、ありもしない(いや、少なくとも、現在まで発見されていない)化学兵器があるという色眼鏡でイラクの報告書を審査し、それが記載されていないから、うそ・でたらめだと決めつけて、戦争に突入しました。その戦争の結果が、どんなにブッシュさんががんばっても、マイナスだったというのは否定できないでしょう。と、いうトラウマです。
まして、今回、各専門家、コメンテータがいっているように、ブッシュ政権の外交の失敗をぬぐうため、という目的もあるとすると、この報告書の審査はあまくなる。いや、イラクのときは「うそ・でたらめ」だと思い込んで審査したのと逆に、「何が書いてあってもOK」という結論があって審査するのではないかと。
あまり外交はわかりませんが、この報告書は六カ国協議によるものらしいですから、ならば、他の4カ国も審査に加わって、少なくとも多数決(3:2なら承認ということかな?)とするくらい慎重であってもいいと思うのですけれど、そういうことは考えないのでしょうか。
それと今一つわからないのが、核とテロとなんで関係あるの? と。 核開発や核兵器をもたなければテロ支援にならない、ということならばわかるのですが、どこでつながるのでしょう。たしかに、核拡散をしてテロリストに核兵器が流れるきっかけの一つはなくなるかもしれませんが、核兵器以外の部分でテロの支援をしていれば、なにもつながりはありません。それこそ、イラクで問題にした化学兵器を、核兵器のかわりにテロに流していれば、もっと恐ろしいテロ支援国家ではないのだろうか。 この点からは、たしかに、アメリカの外交のマイナスを補うパフォーマンスにすぎないという意見はもっともなように感じます。核拡散には大きな前進で、世界平和という大きな範疇ではプラスかもしれませんが、テロ対策には何も前進していないということになりますから、なぜテロ支援国家の指定を解除するのか…。
他方、日本もイラクに対するアメリカの二の舞はいけないと思います。拉致問題がありますから、日本は逆に「何が書いてあっても出鱈目」という結論で北朝鮮の報告を判断する、ということになるでしょうか。とくに最近、今回の報告書にかぎらず、「北朝鮮のいうことやることは出鱈目」という前提、前提ならばいいですが、そう決めつけている傾向があるように感じてなりません。たしかに、他人の遺骨を提示したり、情報をあとから都合にあわせて修正したり、という過去の行為からは信用できないのはたしかですけれど、都度、新しい提示や発言を、いちいち決めつけて見ていくことは、イラクに対するアメリカと同じ失敗をするのではないかと気になります(そもそも…北朝鮮って、実は、能力がないだけでは? と思うのですが…。拉致被害者の生息、生死に関する情報を把握すらできていなくて、あわてて回答し、辻褄をあわせるために他人の遺骨を用意し…これだって、DNA鑑定などでバレるということすらわからない能力しかなかったのでは?。ただ日本もあのDNA鑑定は、公平な判断だというパフォーマンスのために、第三国にも同じ鑑定をさせるくらい慎重だったらよかったのに、と私は思います。それはともかく、そんな能力がない、情報も資料もないのならば「わかりません」といえばいいのに、それはプライドが許さなくて、日本からは資料をだせ、報告をしろ、と言われてオドオドしているだけではないかと…思うわけです。ならば、「ごめんなさい、わからなかったのでうそつきました。今から鋭意調査して報告します」くらいいってもいい(いってもよかった)と思いますが、国家として調査できるほど体制がしっかりしていない。北朝鮮にとっては、日本の不明の年金を1か月ですべて解明しろと言われているのと同じくらい難しいことで、「今から調査します」と北朝鮮かいうのは、舛添さんができもしないことを答弁するようなものじゃないだろうか。あ、こんなこと書くと、国家を馬鹿にした、と、工作員に暗殺されるかしら…。まぁ、以下はそこまで能力がないのではないという前提で)。「世界全体が幸福にならないうちは、個人の幸福はありえない」(宮澤賢治)と、私は思いますから、拉致問題の解決なくして世界平和もないと思います。でも、拉致問題に固執するばかりに、北朝鮮のもっと大きな反世界平和につながる行為を公平に評価し、分析できないで見方をあやまることがあれば、その挽回はますます難しくなるかもしれません。だいたいものごと、複数の問題を関係させるから難しくなることが多いものです。ここは、きりはなして判断していくことが必要なのではないかと思います。
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